あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
よく通る声。

つい口元を見てしまうけど、よどみなく言葉を発する唇は割と薄めだ。

よく見ると時々ふっと口元がゆるんで笑ったように見える。

笑ったように見えるけど、打ち合わせはそんなにフレンドリーな雰囲気は全然ない。


課長は続ける。

「まず、最初に、人材教育を優先するという社の方針から、人材開発課という課が新設された。
出来たばかりで、一度に入れ替えるわけにもいかないから、当面のところ今までと同じように社員の研修と育成を行う。
だが、なるべく早くこの会社にとって必要な人材を育てていく仕組みを作って行かなくてはならない。
だから、のんびりしている暇はない」

ん?

「去年と同じでいいってこと?」
しまった。声出しちゃった。

「ああ。ただし、同じでいいのは、喫緊のものだけだ、スケジュール的に今からじゃ間に合わない」

「はあ」きっきん?

「でも、早めに対策は立てていく。でなきゃ、早くに開発課を立ち上げた意味がない」

「はい」

対策……

立てるって。誰がやるの?
誰もやってくれないよねえ。

はああ。
お店でプリン売りたい。
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