あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

後から聞いた話だけど、うちの短大の学生にとってエビスヤホールディングは、就職先として、雲の上の存在なのだそうだ。

うちの学生が受かるはずない、あり得ないって就職口だと就活の窓口のオッサンに言われた。

『かけてもいい。絶対受かるわけない』
そのくそじじいの顔は、今でも忘れない。

就職してから、そのじじいの顔を拝んでやろうと思っって窓口をのぞいたら、そのじじいが、
『去年、あのエビスヤに入った優秀な生徒もいるんだ』と言って、すごく威張ってた。

私は、最低単位ぎりぎりで卒業したしょうもない学生から、優秀な学生になっていた。

何でもいいように考える。
そのじじいが憎たらしいことを言ってくれなければ、今の自分はいなかった。とか。


そもそも、私は他の会社を受ける気はなかった。
というか、エビスヤホールディング以外の会社を受けるという発想自体がなかった。


エビスヤは、3年前に大規模な会社同士の統合で会社が大きくなってから、大学生の就職先希望ランキングも急上昇している。

有名大学、大学院卒の優秀な方々が、ぜひ就職したいと言ってごろごろ集まってくる会社なのだ。

今ほどすごくなかったけど、6年前だって十分な優良企業だった。
そんなこと、聞かされるまで知らなかったなんて、どんだけ世間知らずなんだろう。

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