あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

3人とも、表の看板に書かれていた、日替わりランチを頼んだ。

おしぼりで手を拭いてから、横に座った宮崎さんが、私の方にぐいっと体を向けた来た。


あからさまに、国崎さんを意識していう。
「あのさあ、栗原さんって人材開発部の主任なんだってね」

「はい。そうですけど」
出来れば、それには触れないで欲しかったな。

「私達、同期の中では、一番の出世なんだよねえ。しかもみんなが狙ってた、藤原課長の下で働くの」

同期?
本当ですか?

「そうなんですか?」
私は、二人の顔を見比べる。

よかった。

彼の前で、うかつに社長に直談判して元の職場に戻してくれ、なんて言っちゃったら、口きいてくれなくなるとこだった。

「ねえ、私も不思議なんだよねえ。
なんか栗原さんて、出世頑張ってますって感じじゃないし、ものすごい才能があるっていう風にも、全然見えないし」

宮崎さん、結構はっきりものを言う人見たいです。

私は、彼女の話に、その通りですよと頷いた。

「私も、何かの間違いじゃないかって、そう思います。
人事については全く知らないし、教育って言ったって、店のアルバイトの子たちに仕事を教えてただけですから。
どうしてそうなったのか、さっぱりわかりません」

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