あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「何だよ、それ?」
国崎さんがあからさまに不満を漏らした。

「はああ、そうなんだ」
宮崎さんも、大きなため息をついた。

「なんか、すいません。私なんかが主任になっちゃって」

えっと、もっと気のきいた言い方にすればよかったかな。考えなさ過ぎ?


「ほんとだよなあ。藤原さんのもとで勉強出来たら、どんだけプラスになることか。
すぐにでも、席代わってくれよ」
国崎君がため息をつく。

「そうだよね。国崎は元々、人材開発希望だもんね」宮崎さんが教えてくれた。


「そうなんですか?」


「陰でこっそり勉強いしてるんでしょう?」
宮崎さんに暴露されて、国崎さん不満顔。


「まあ、そうだけど」


「ほんとう?」いいこと考えちゃった。

「何だよ」

「あのさあ……お願いがあるんだけど」

「何だよ」


「無理なら仕方ないんだけど。見てもらいたいものがあるんですけど、国崎さんなら頼んでもいいかな?」

「いきなり何だよ。気味悪」
国崎さん、引いてる。

「別に、藤原課長の資料なんて興味がなければそれでいいんだけど」

私の話が気になった国崎君は、目の輝きが増してきた。

課長の言う通りだ。
人はモチベーションによって、より力を発揮する。

彼は、いいよ。お昼は、このあと暇だからと言って、私の申し出に応じてくれた。

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