あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

そのあと、食事を早めに切り上げて、すぐにオフィスに戻った。

デスクのパソコンを立ち上げ、国崎さんと二人でモニタをのぞく。


「へえーっ。これ全部読めって?国崎一人じゃ、無理じゃないの?」宮崎さんも、ファイルの数を見て、面白がって言う。


「そうなの。まず、この何とか理論っていうのを理解するために、何か基本的なことが足りない気がするんだけど」私は、その何とか理論のページを開いた。

「マズローの欲求段階説、マクレガーのX理論・Y理論?いきなりこれ読んでるのか?」

いきなりって言うことは、国崎君はこの内容のレベルが理解できてるみたいだ。
よしよし、ちょっと先が見えてきた。


「だって、渡されたのこれだけだもん。
一応ね、読んでみたんだけど。
書いてあることは、なんとなく分かるんだけど、実際にどうやって仕事に生かしていったらいいのか分からなくて」

彼は、私からマウスを取り上げて、黙ってスクロールしながら画面を見ている。

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