あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
国崎君は、ずっと画面を見たまま、ぶつぶつ独り言を言ってる。
ああ、そっか。
んん、なるほどねえ、と私が嫉妬して狂いそうになる言葉を彼は連発してる。
彼は、前に座ってる私のことを、押しつぶしてるのも忘れて、画面に夢中になってる。
「ん~と、そうだな。明日、基本的な本、見繕って持ってきてやるよ。
家になら、もっとかみ砕いてお前にもわかるように説明してある本、いくらでもあるから」
スクロールしながら、意識は画面を追いながらしゃべってる。
それより、お前?なに、お前って。
「ほんと?ありがとう」
細かい事なんか気にしないで。笑う。
「そのかわり、この資料コピーしてもいい?」
「いいよ。そのくらいは大丈夫だと思う。本当に引き受けてくれるの?
本当に?いいの?何か、欲しいものある?」
「ああ。いいって、大したことしてないから、礼なんかいいって。それより、これ、いつまでに理解しなきゃいけないんだ?」
「それは、早いうちのほうがいいな」
「あっ、じゃあさ、資料読み込むまで時間くれない?
自分なりにだけど、読み込んだら、資料の内容レクチャーしてやる」
「いいの?そこまでしてくれて」
ついさっきまで、私のこと毛虫でも見るように見てたけど?
「気にするな」
「本当に?ありがとう!」
なあんだ。こんな近くに、協力してくれる人材がいたじゃない。