あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
課長は、その日は結局、就業時間までに戻ってこなかった。

私は、資料を読むのを中断して、去年のスケジュール表に目を通してる。

資料の細かい文字を目で追っていると、目が辛くなってきたし、
私にセミナーをいくつか任せると、課長が会議で言っていたからだ。

去年のままセミナーを開くとするなら、形式は受け継いで、
ゼミナーの内容は変えるだろうな。

まったく同じにするなんて発想は、課長はしなさそうだ。

じゃあ、どんな内容にする?
えっと、適当に考えていいものなのか、よくないのか。それすらわかっていない。

適当に、それらしいものを考える?

何も考えてないって、見破られたら?

課長の信頼をこれ以上失うのは、いいことじゃない。

検討するって言っても、何から考えていいのか分からない。

分からなくなったらメール送れって言われてたから、課長にメールを送った。


今年の女性向けキャリアアップのセミナーで、内容について、検討中のものはございませんか?

――それについては、すでに考えは、まとまっている。明日にでも打ち合わせしよう。


すぐに返事が返って来た。
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