あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


「去年って、このセミナー仕切ってたの誰だっけ?」
私は席を立って、資料を作成中の恵麻ちゃんに尋ねた。


課長が戻ってくる前に、あらかじめ知識を得ておくことができたらと、気が付いた。


「さあ、去年の書類に、作成者って書いてあるんじゃないですか?」

指の動きは止めずに、顔は無表情で、声だけ迷惑そうに言う。

本当に器用な子だよねえ。

「それが、全部課長の名前になってるけど、それでいいの?」


「いいんじゃないですか?それで」
彼女は、指を止めて画面を見つめてる。


「本当に?全部課長がやったのね?本当かな?そっか……いいわ。それなら、後で国崎君に聞いてみるから」

もし本当なら、超人的だわ。
まあ、課長の化けの皮剥いだら、ロボットでしたって言われても驚かないけど。

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