あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

それとも、

面接の試験管に、『落ちても何度でも来ます』って言いきったのが効いたのかな。


実際、自分が落とされるなんて、これっぽっちも思ってなかった。

今、思えば、身の程知らず以外、なにものでもない。

私の基準は学力じゃない。どれだけ、情熱を傾けられるかだ。

もちろん、勉強なんか面倒だったから、そっち方面では全然、頑張らなかったけど。


私は、好きになったらとことん好きになる。


面接官に来てたエビスヤの社員だって、たいしたことはなかった。

私の話をメモを取って、熱心に聞いていた。

私の「ふわっとプリン」愛に敵う者は誰一人としていなかったのだ。

だから、自分より愛情のない、そういう人たちに私が落とされるなんてこと、あるはずがない。
私は、そう思っていた。


実際、私は、面接官に会うのを楽しみにしていた。

学生の頃は、会社の組織の上に行くほど、プリン好きが集まってると思ってたから。

面接の場を、心待ちにしていた。
商品の話が出来ると思って喜んでいた。
実際に、面接官にそういうと、

相手は、
『君って本当に変わってるねえ』と感心してくれた。
けど、話す機会はほとんどなく、直ぐに終わってしまった。


それとも、会社に入れた理由はそっちだったのかなあと思う。
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