あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「お前、いったい、何個食うんだ?胃袋大丈夫か?」
彼が本気で心配してる。
「あのねえ、プリンとの出会いって一期一会なわけ。
ここに来るのは、今日で、最後かも知れないの。
だから、財布の許す限り注文するの。
総務部のお兄さん。君はどんな会社に入ったのか覚えてる?」
「エビスヤだろ。分かってるさ、そんなもん。当たり前だろ」
めんどくさそうに言う。
掛けてもいい。甘いもんは嫌いって言うに決まってる。
「じゃあね、会社が何で収益を上げてるか、覚えてる?」
彼は、うざいって目でギロッと睨む。
「お言葉ですが、エビスヤは店舗からレストランまで、いまやプリンで上げる収益はたいした数字じゃないぞ」
おお、さすが本社のエリートちゃんと知ってるじゃないの。
「たいした数字じゃないからって、創業の元となった大事な商品をないがしろにするの?」
信じられない、ってジェスチャーをする。
「いや。してないけど。それより、そんなに甘いもん先に食べるって、き、おかしいだろ?」
「き?キチガイ?キモイ?なんて言おうとしたのよ」