あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ



「お前、人事部の役割ってどのくらい知ってる?」
国崎君が、スパゲッティをフォーク巻き付けながらいう。

「えっと、人を異動させたり、給料を払ったり、それから……」
私の意識は、全部舌の先に集まってる。

「自分が配属されたとこは、何するとこなんだよ」

ごめん、聞いてなかった。

私の答えを待たずに彼が頭を抱えた。
いちいち、やる事が大袈裟だ。

「教育!」

「そう、人材の育成ね」

「はい」

「人事は人を採用し、配置し、評価して育成する。そのほかに福利厚生、労務、
社員のあらゆることに関わる仕事をしてる」

「はい」そのくらいは知ってるって。

「例えば、君のいる人材育成。企業が成長していくために必要な人材を採用して、育成していかなくてはならないよね」
国崎君、こういうこと話してると生き生きしてる。


「はい」

「でも、現場の例えば人事部だけの考えで勝手にプログラムを組んだら?経営側とまったく違う考えで動いてしまったら?」

「会社が上手く回って行かない。っていうか二人三脚みたいに会社にとって必要な人材を作って行かなきゃいけないってこと?」

「そう、呑み込みが早いね」
彼に、よしって頭をポンと叩かれる。

「ああ、そっか。そうしないと効率が悪いんだ、利益を上げるには意識を統一してないと進む方向を間違えるもんね」

「ああ例えば、事業規模を 3 倍にしたいと経営側が思ってると、人事部長も同じように、3 年先の組織図考えておかないといけない。
人事が会社の考えてることと逆のことをしたら、二人三脚では、転んじゃうね」

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