あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「希海?」

「ん?」

「お前って……結構、可愛いとこあるな」

急に、何だ?
そっちのセリフの方が、キモイぞ。

「そうかな」

あれ?彼の顔が今にも吹き出しそう。

「それ、半分貰ってやる。そのかわり、これ少し食えよ」

彼は、そう言って自分のスパゲティーを半分、分けてくれた。
彼は、私が注文したプリンとプリンアラモードを半分持って行った。

「確かに、このプリンおいしいな」
甘いものは、一応食べられるらしい。

ちょっと、それ使わないでよ。
私が食べたスプーンですけど。

まあいいか。機嫌よく食べてるし。

「うん」

私は、店のおばあちゃんに、美味しかったと大きな声で伝えた。


そうしたら、店のおばあちゃんが、やって来て、なぜかお盆に器を二つ運んできた。

「どうしたの?これ?」

「たくさん注文してくれたからね。お礼だよ」といって出してくれた。

「プリンだ。またか」
彼がうんざりして言う。


「いらないなら、私食べるけど」


「よこせ、ちゃんと食べるって」


「ああ、これ!!」
私は、目をむいて驚いた。


ええええっ!!
どうしてここに?


「どうしたの?」


「ふわっとプリンだ!!」
しかも、初期の出たばっかりの味だ。

ふぁああああ。
間違いない。

「そんなもん、どこだって作れるだろう」
分かってない。
猫に小判。
そのプリン返してよ。

あくまでも、感動の薄い人だ。


「でも、この味は、今のと違いますよね?どうしたんですか?これ」


「さあ?私は店番してるだけですから」
お婆さんは、聞き取りにくい耳を傾けて言いう。


「じゃあ、誰が作ってるの?教えて」

「このお婆さんに聞いても無駄じゃない?」
国崎君が言う。

「そっか……」

「でも、また、来るね」


駅へと続く道。
急に国崎君が立ち止まった。


「希海……」

「な、なに?」

「ありがとな」

「ええっ!?」なに?ちょっと待って。

「まずいか?ありがたく受けとれ」
後ろから、思い切り首を絞められた。

彼の大きな体が、後ろから私を包んだ。

「ちょっと、マジで止めて死ぬ。苦しいって!」


それから、彼がしばらく考え込んで言う。

「それから、お礼の話。何にするか決めた」

「決めたって、何よ」


「う~ん。ちょっと考えたんだけど。今は言わないておく」


「あっそう。高いものはダメよ」

「もちろん」

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