あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ




もう少しで、お昼休みというときだった。



私はパソコンで作業中だった。
後ろからそっと近づいてくる気配に、まったく気が付かなかった。

「ぎゃああ!」


別に、国崎君が酷いことしたわけじゃないけど、あんまりびっくりしたから声が出てしまった。

国崎君は、私の両肩を、肩もみするようにぎゅうっと力いっぱいつかんでいた。

モニタに集中してた私は、もろに国崎君のいたずらに引っかかった。

「本当に、何するのよ。びっくりしたよ」


「悪いな。脅かすつもりだったけど」
彼は、楽しそうに笑ってる。

頼むから、集中してるときは止めてください。

「ちょっと、何してるの?」宮崎さんが国崎君の暴走を止めてくれた。


「もう……」死ぬかと思った。
私は、呼吸を整える。


「止めなよ。一応、これでも女の子なんだから」と宮崎さん。


「案外、呆気ないなお前……もっと面白い反応すると思ったのに」


「急に後ろから来られたら、気が付かないよ」


「まったく、国崎は、構いたくて仕方がないのよ。ごめんね」


「国崎……」

皆が一度に課長の方を見た。


「はい。すみません。うるさくして」

「いや。これ栗原の書類。頼まれてたの渡しておこうと思って」


「はい。ありがとうございます」
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