あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
「いったい、どうしたんです?」
戸惑ってしまう。
目の前で真面目な顔をしてる人の行動が信じられなくって。
この人は、本社にいるエリートの中でも特別な人だ。
人事専門のコンサルタント。
人材開発に強い人材を、ということで、上層部がコンサルタント会社から連れてきた人だ。
だから、経営側にも意見ができ、普通の管理職とは別に強い立場にいる。
そんな人が、どうでもいい、一般社員の私なんかに頭を下げている。
「俺の方こそ人を見かけで判断して悪かった」
彼は、もう一度だけ軽く頭を下げた。
「止めて下さいって。謝ってもらうほどのことではありませんって」
課長は、静かに話をし出した。
「君に国崎のことを聞いた後、どのくらいの知識があるのか後日、彼に口頭で質問をした。
少々自分の得意分野に偏っているけど、よく情報集めて勉強していた」
課長は、よどみなく伝える。
「えっと、あの。私、彼が人事開発課に異動したいって聞いたんです。
資料を読むのに助けてくれたらいいなと思っただけで、そんな、人の才能を見出そうなんて、大それたことまでは考えていませんでした」
課長は、そうだったのかと頷いた。
「まったく、俺は、何やってるんだろうな。君の言う通りだった。
外部の人間を連れて来いだなんて、安易な発言をしている前に、きちんと目を配るべきだった。
そのことに関しては、君に教えられた。そして、君を推薦した月島さんにも考えを改めるよ」
「月島さんが、推薦した?そうなんですか?」なんてこと。