あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
近づくほどわからない人

早いもので、本社に移って一か月が過ぎようとしている。

私は、管理部内での人間関係はおおむね順調といえた。

ある一点、恵麻ちゃんの態度を除いては。

恵麻ちゃんの不機嫌の原因は、国崎君だ。

国崎君が私に対して、あからさまに熱い視線を送ったり、親しげな態度を取るようになった。

彼は、正直な人で、あふれ出る気持ちを人前でも隠そうとしない。

国崎君を気に入ってる塩崎恵麻は、国崎君にぶつけることが出来ない、イライラを私にぶつけている。それで、彼女の態度が冷たいものになっている。

冷たくされようが、バカにされようが一向にかまわない。

そんなことは、中学高校、短大で嫌というほど学んできた。

でも、職場での唯一の情報源に無視されると、仕事がしにくくなる。

さすがに、こういう目にあったのは初めてだった。


彼女からの情報が絶たれるというのは、恵麻ちゃんから業務上以外の細かい情報が一切来なくなる。

例えば、フロア内でちょっとした備品を買うためのカンパが回って来ていたのに、それを知らされていなかったり。

< 79 / 240 >

この作品をシェア

pagetop