あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


確かに、参加しなくても仕事には、差し支えない。

カンパが回って来ても、私だけ寄付を拒んだことになってても、別にいいんだけど。

恵麻に、『栗原さんにカンパを断られた』と伝えられた総務のお姉さんは、きっと人事に来たばかりの新しい女の主任は、すごいケチだ。

あるいは、主義に反することにお金を出さない偏屈で変わり者だって言ってるに違いない。

私が言われたってそう思う。

そして、着実に私は、オフィス内でそういう空気を読まない人だと評価されていくことになる。

まあ、このことは、しばらく一人で悶々としていたのだけれども、宮崎さんにうっかり愚痴ったら、
『あら、何だ。そうだったの?早く言ってくれればいいのに』と総務の女性みんなに、あっという間に正しい情報を流してくれた。

『国崎君に対する恵麻ちゃんの態度は、総務の子たちも気付いてるから』と宮崎さんに教えてもらった。

そうして彼女を通して、誤解を解き、恵麻に気付かれないように情報を回してもらい、フロア内の人の輪をつなげていけた。

こういうのを考えると、社内恋愛なんか、面倒くさいと思ってしまう。


仕事上で困ったことがあったら、宮崎さんから聞いたと言って相談に行けばいい。

そうすると、それぞれの事情に精通してる人が、彼女の紹介ならとたいていのことは引き受けてくれた。

そういう段取りを踏めば、多くの事が解決してしまった。


宮崎さんのおかげで、開発課の外の人間関係の輪は、順調だった。

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