あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
歓迎会は、会社から数分の場所だった。

創作料理の店で、田舎では見かけない変わった料理が出てくのかなと期待していた。


一階が厨房で2階と3階に40席位の客席がある。

雰囲気は良くて、人気があるから、大概の日は混雑している。

ただし、今日は貸し切りのため、一般客は受け付けていないと、店の前に置かれた看板に書かれていた。


今日は、両方のフロアがエビスヤの社員で満員だ。

2階が総務と人事。3階が営業部。

申し合わせたんじゃなく、どうやら、偶然重なったらしい。


「結構、人数が多くなった上に、営業も別の階で歓迎会してるから、ちょっと慌ただしいけど……」宮崎さんが、場所を説明するために、メールで回って来た内容をプリントアウトしてくれた。私は、その紙を手にしていた。


「どうなんだろう……人数的にきついのかな」
何人働いてるかわからないけど、ちょっとしたパーティーみたいだ。


上下60人だとしても、階段を昇り降りして料理を運ぶのも大変だと思った。

「いくらきつくても、30人位入るだろう?」国崎君がいつの間にか後ろにいた。


「えっと、そうじゃないの。客席に入るかどうかじゃなくて、人数が多いと、料理が出てくるのが遅くなったり、注文取りに来てくれなかったり。変なこと心配しちゃうだけで気にしないで下さい」
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