あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ

「うちらは?」国崎君が幹事の子に尋ねる。


「2階にになります」と幹事になった、入社二年目の子たちが答えてくれた。

「結構な人数だね」

「はい。営業の方も今日しか日程が合わなくて、うちも他の日だと出席者が減ってしまうから、合同みたいになっちゃいますけど」

「仕方ないって、気にしなくていいさ」国崎君が言った。

二階席は、細長い建物そのままが客席になっていて、30人が着席してもゆったりしていた。

私は、宮崎さんと国崎君3人で奥の方の席に座った。


「あのさあ、国崎が人事の手伝いできるようになったのって、希海ちゃんが課長に掛け合ってくれたからなんだって?」宮崎さんが言う。

「掛け合ったって、そんなに大変なことしたわけじゃありませんけど」
国崎君の方をちらっと見る。


二人が引っ越しの手伝いに来てくれた日、すなわち……
国崎君といろいろあった日。
あれからしばらく日が経ってる。

デスクも隣同士になって、毎日話が出来たり、一緒に帰ったりするのかと思っていた。

それに、国崎君は開発課に移ったばかりで、藤原課長に死ぬほどこき使われてるし、私もセミナーの準備で忙しく、すれ違ってばかりいて、ゆっくり話ができないでいた。

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