あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ




正直言って、転勤したくなかった。

慣れ親しんだ仲間の中には、私が本社の人たちの仲間になってしまったと非難する子もいた。

というのも、本社から来る人たちは、中央の方ばかり見ていて、私達地方の店舗の人間のことまで考えて働いてくれないからだ。

本社から来る偉いさんは、私たちの支店に2、3年お殿様のようにやって来て、数字とにらめっこして過ごす。

他のことは、好きなようにしろ。と私たちの名前もろくに覚えない。



『希海ちゃんもそんなふうになっちゃうって』

『なんないって。性格的に無理だよ』

『そっか』


私だって、慣れ親しんだ土地を離れたくない。

仲間と仕事する方が楽しいもの。

散々抵抗したんだけど。
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