あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ


彼との時間をゆっくりと過ごしていない状態。

急速に何もかも進む時期に、ストップがかかってる状態。

好きで付き合う前の二人だったら、ものすごいストレスになるはずなのに、私は、この状態でよかったなんて思っている。

実は、この状態でとどまってることに私は内心、ほっとしていた。

本当なら、国崎君にもっと近づいて、彼との距離を詰めなければならない時期なのに。

二人きりで出かけたり、お互いの家を訪ねたり。
なのに、私は彼から離れようとしている。

もう一度抱きしめられたら、キスされそうになったら拒絶してしまうかもしれない。



「ゆっくり飲めるのって、先週以来か?」

「うん。そうだね」
国崎君が、意味ありげにじっと私の顔を見つめてくる。


その様子を見て宮崎さんが、私と国崎君の顔を交互に見てる。

「よかったね。上手く行って。私も二人がカップルになってくれてうれしいよ」

「ちょっと、先走るなって。まだ、そこまで行ってない。今日ちゃんと話そうと思ってる」国崎君が慌てて止める。


「そうなんだあ」宮崎さんが嬉しそうに国崎君の背中をたたく。

国崎君とは、話をしなければいけないと思っていた。

私の気持ちが、一週間前のあの時の気分とは、随分違ってしまってるってことを。
ちゃんと言わねば、ならないはずだ。






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