あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
何度も、視線を絡めてくる国崎君のことを、申し訳なく思いながら、私は部屋の入口の方をずっと気にしていた。

私は、ここにいない、別の人のことを気にしる。

『申し訳ない』そう言ってた彼の声が、耳にいつまでも残っていた。


さっきも主役だと言われなければ、進んで残業を買って出て、彼の手伝いをしていたかった。

「なんだよう、主賓のところにビールが来てないのか?」

国崎君が、大きな声を出して幹事の子にビールを頼んでいる。

「飲み物が足りないみたいだな」
国崎君が、立ち上がって様子を見に行った。

下に下りていった彼は、すぐに戻って来た。

「だめみたい。厨房は忙しそうで声がかけられなかった」


やっぱり、そうだと思った。
人数に比べて、料理や飲み物を運ぶ人の数が足りないと、すぐに思った。

「ちょっと、下に行ってくる」
私は、国崎君が止めるのも聞かずに厨房に下りていった。

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