10分後の世界
赤城海戸
僕はある日からある事ができるようになった。
それは10分後の世界を見ることだ。
僕は、都会からかけ離れた、田舎の高校に通う高校2年の赤城海戸(あかぎかいと)
高校は、家から近く、いつも歩きで通っている。
???「海戸おっはよー!!!今日もいい天気だね!!!今日も1日元気出していこー!!!」
海戸「はぁ…」
この朝っぱらから騒がしいやつは顔を見なくてもわかる、
宮本茜(みやもとあかね)だ。
茜は、家が隣で親同士が仲が良いことから、幼稚園の頃からの幼馴染だ。
茜は、いつも明るく、元気で、みんなから好かれている。
茜「朝からため息なんかしてたら、幸せが逃げちゃうぞー!!」
海戸「幸せだったら、ため息なんてしてねーよ。…相変わらず朝っぱらからうるせーなぁ。」
茜「海戸なんか言った?」
海戸「なんも言ってねーよ。」
茜「まぁいいやっ!
それより急がないと遅刻するよ〜。」
海戸「は?もうこんな時間なのかっ!
急がねーと……っ!!
…茜!こっちの道はやめよう。」
茜「えぇ?なんでよー?」
海戸「いいから!今日はこっちの道からにしとけ!」
茜「なんなの?急に真剣な顔になっちゃって。
はぁ、わかったよ。
海戸こうなると話聞かないもんね。」
キーンコーンカーンコーン
先生「じゃあ出席とるぞー。」
ガラガラっ
茜「ギリギリセーフっ」
海戸「間に合ったのか?」
先生「宮本、赤城、5分遅刻だ。」
茜・海戸「………はい。すいません。」
キーンコーンカーンコーン。
???「やっと昼だー!!!
海戸、早く学食食べにいこーぜー!」
海戸「わかったわかった。」
今、僕の名前を呼んだのが武田俊介(たけだしゅんすけ)だ。俊は中学の頃からの親友だ。
俊は、馬鹿だがスポーツができることから結構モテている。
茜「私も行くー!!」
俊介「おぉ、いこーぜー!」
2人とも僕と仲が良いことから、よく3人で遊んでいたため、茜も俊介も仲が良い。
俊介「そういや、なんで2人とも遅刻したんだ?」
茜「あっそうだった!海戸なんで登校の時、遅刻してまで道を変えようなんていったの?」
海戸「あぁ…。なんとなくあの道の方には行かない方がいいかなーって」
茜「えー!?そんなことだけで私は遅刻までしたのー!?」
海戸「わりーわりー。」
もちろんあの時、なんとなくで道を変えたんじゃない。
見えたんだ…10分後、あの道を通っている時に突然車が飛出してきて、目の前で茜がひかれてしまうという未来が。
この未来予知は、自分が見たい時に見れるのではなく、いつも突然起こる現象だ。
僕が小学生の時、初めて自分にこの力があると自覚した。
その時は、僕と茜と俊介の3人で公園で遊んでいる時だった。
僕がブランコに乗っている時に、突然、俊介がジャングルジムから落ちてしまい茜が横で泣いている光景が見えた。
この時僕は、未来が見えるなんて考えもしていなかった。
だが10分後、ジャングルジムに登っていた俊介が落ちた。そして横で茜が泣いている。それは10分前に見た光景と全く同じものだった。ブランコがある場所からジャングルジムを見ると、ちょうど大きな時計があるため、時間ははっきり覚えていた。
突然見えた光景が現実に起こるまで、ちょうど"10分"。
そしてその時、僕は10分後の世界を見ることができるのだと自覚した。
それから何度かは、同じように未来が見えることがあったが、全て小さいことばかりだったので、あまり記憶には残っていない。
そして高校2年になった今、明らかに未来の見える回数が増えてきている。それも事故や犯罪などの大きなことが。