隣の貴方は吸血鬼
「お独りですか?」
「あ…いや、弟と二人なんですけど…すみませんね、ちょっと内気な奴なんで。えーと、唐沢さん?」
「唐沢美波です。美波で良いです。敬語も使わなくて大丈夫です」
「あ、はは、ごめんね…私実は敬語苦手で。私も茜で良いよ。じゃあ…美波ちゃん?あなたは独り暮らしなの?」
「はい。この近くの高校に通っています」
「へえ…大変なんだね。弟にも見習って欲しいな」
「弟さん…いくつなんですか?」
「え!?…あぁ、17…よ」
「え!同い年??うわぁ…会ってみたいです」

美波は純粋に好奇心で言ってみたのだが、一瞬、茜の表情に影が差した。
「ああ…うん、今度挨拶させるよ。それじゃあまた」
「?はい、ではまた」

またね、と言って茜は隣の家に入っていった。
「…いっけない、もうこんな時間!遅刻しちゃう!」
美波は慌てて鞄を持って外に飛び出した。



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