隣の貴方は吸血鬼


「…………」
「気になるならお前も来れば良かったのに」
「な…馬鹿!!気になんてなってねぇよ!!」
窓から先程の様子を窺っていた恭平を、後ろから茜がつつく。

「がなるな見苦しい。いやぁ青春だねぇ…きょ・う・へ・い・くん☆」
「見た目から適齢期とっくに過ぎたお前に言われたくねぇ!!」
「…!!黙れクソガキ!!」
茜の鉄拳が飛んだ。

「痛っ……」
「ったく……ほら立て、今日こそ克服してもらうからなッ!!」
「うぅ…ッ!!!!!?」
突如恭平が苦しそうにうめいて膝をついた。

茜が持っているのは、木製の十字架だった。
縦横約30センチ程の、かなり大きいサイズだ。

「ほら、ちゃんと見ないとくくりつけるぞ!!」
「…ッ畜生…この…クソアマッ…!!」
「そのクソアマのお陰で生き繋いでるお前は何だ!?」
「…ッアッ…!!…!!」
目を逸らそうとしても、茜が顎を掴んでそうさせようとはしない。
目を瞑る事は許されない。
まるで拷問のような行為だが、勿論茜にはそんな事をしたい訳ではない。




彼ら姉弟は、吸血鬼なのである。

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