隣の貴方は吸血鬼


「それじゃあお先に…お疲れ様です」
「お疲れ~。気を付けてね」
店長に挨拶をして従業員休憩室をでる。
時計を見ると既に10時を廻っていた。
「はぁ…疲れたぁああ…」
クレーム3件、内1件は美波のミスだ。
アルバイトというのは肉体疲労とともに、精神的疲労も馬鹿にならないのだ。

「明日オフにして正解だった…」
明日は久しぶりのオフ日である。
せっかくの日曜日だが、ゆっくり寝る事にしていた。

やはり来月からはもう少し減らすべきかもしれない。

終バスを逃してしまったので、徒歩でアパートに向かう。

歩道橋を渡るとそこは人通りの少ない道になる。
線路の真下であるそこは、短いトンネルのようで、薄暗く不気味だ。

しかしここを通るのが一番の近道なのである。
美波は出来るだけ早足でそこを通り抜けようとした。
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