隣の貴方は吸血鬼
「…無事、帰宅…」
ふぅ…と、溜め息を吐いて部屋の鍵を開けて中に入った。
先程のあれは何だったのだろうか。
明らかにトンネルの壁を美波の足音が反響した音…ではなかったと思う。
やはり…誰かがつけていたのだろうか?
「まさか。私なんかつけたって何の得にも…」
言いかけて、ひとつだけ思い当たる事があったが、すぐに払拭した。
「ない。ないない。…いや、あるかもだけどないっ」
何にせよ、思い出すだけで背筋がぞっとする。
「………考えるの、やめよ」
これ以上考えると頭がおかしくなりそうだ。
折りたたみ式のベッドに横になり、眠気に任せてそのまま意識を手放そうとした。
「………電気」
節約は抜かりなく。