隣の貴方は吸血鬼
………なみっ…
「ん…」
「美波っ!!」
「うひゃぁっ!!」
耳元で叫ばれ、思わず椅子から転げそうになる。
腕がじんじんと痺れ、頭がぼーっとする。
顔をなぞると微かに凹凸を感じた。恐らく痕が残っているだろう。
そうか、私は…
「…もしかして寝てた?」
「それはそれはぐっすりとね!!」
クラスメイトの酒川菜々枝が呆れたようにため息をつく。先程の声も彼女だろう。
「美波ちゃん…授業終わっちゃったの…ノート、写す?」
菜々枝の隣から、少し小さな声と共に、おずおずとノートを差し出された。
「ん…あぁ、ありがとう、佑香。助かる」
美波は寝惚けて回らない呂律で礼を言うとノートを受け取った。