隣の貴方は吸血鬼


「んー…もう一頑張りするかな」
「でも美波、やっぱりバイトは考えるべきだよ。あんたあの後結局2時間また寝たじゃん」
「うぅ…面目ない」
「生活が大変なら私の家に住み込んでも良いのに」
「いやぁ…気持ちは嬉しいけど…佑香の家はちょっと…」
「広すぎるよな」
補足。佑香の父は資産家で、佑香はかなりのお嬢様的生活環境にある。

「まぁ…とりあえず月末までは頑張って、それから考える事にするよ」
「手遅れにならないうちに頼むよ。んじゃ、私はこの辺で」
親にお使いを頼まれているという菜々枝と別れ、佑香と駅に向かう。

「ねぇ…ちょっと聞いたんだけど…」
佑香が言いにくそうに切り出す。
「ん?」
「この辺…出るらしいの」
「何?幽霊なんざ信じてないよ、私」
「幽霊じゃなくて、吸血鬼」
「吸血鬼ィ?」
突然の話題に美波はつい変な声を出してしまう。
「…って言うのは噂。実際はこの辺で傷害事件が多発してるって話。
美波ちゃん、あんまりニュース見ないでしょう」
「…うん」
確かに、最近は勉強すらせずに寝てしまう事が多い。
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