隣の貴方は吸血鬼
美波は律儀に受信料払っているので見ないと勿体無いとは思っているのだが。

「襲われた人…目、覚まさないんだって…見つかった時、全身の血液がほとんどなくなってて、輸血しても植物状態のままなんだって」
「へぇ…」
それは恐ろしい。ニュースでも騒がれているのだろうか。
「だから…気をつけてね。美波ちゃん、バイトの帰りいつも遅い時間でしょう?何なら家から車出しても…」
「あははは、大丈夫だよ。ありがとうね、佑香」
断りはしたが、佑香の申し出はとても嬉しかった。
あまり心配させるのも悪いし、バイトの時間を9時までに縮めようと決めた。

「美波ちゃん…」
「心配してくれてありがと。じゃ、そろそろ行くね。佑香も帰り、気をつけるんだよ」
「…うん、また明日…」
「じゃーね」

今日のバイトはパン屋である。
時計を見ると結構ギリギリだったので、美波は駅に向かって走っていった。


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