隣の貴方は吸血鬼
「あっ…」
帰宅した美波は、隣の部屋に電気が付いているのを見た。
どんな人が住んでいるのかとかなり興味はあったのだが、あまり見ていると不審者に間違えられそうで嫌だったので、すぐに自分の部屋に入った。
「うわぁ…どうしよう…挨拶でもした方が良いのかな…」
『はじめましてー。隣に住んでる唐沢ですぅ。何か困った事とかあれば言ってくださいねー』
「………近所のお節介なおばさん……?」
結局、良い言葉が見つからなかったので挨拶はやめておいた。
と、言うより本音はただ住人を見たいと思っただけだったと気づき、罪悪感に溜め息が漏れた。
それに、挨拶なら会った時でも良いだろう。