それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
「大きな声を張り上げて、はしたないですよ」

 王女の教育係の一人であるカーラは、眉を顰めて冷たく睨みつけた。

 細く長身で、背筋を伸ばしたその姿は凛としているが、そこに厳しさをいつも含んでいた。

 ジュネッタージュ王女をいつも容赦なく叱り、厳しい躾を余儀なくできるほど、城の中でもある程度の権限を許されたものだった。

「失礼いたしました。しかしながら、今日はジュネッタージュ王女様の誕生日パーティです。すでに訪問客も大ホールに集まり、女王陛下も殿下もお席についていらっしゃいます。それなのに、主役であるご本人が支度もなさらずまだベッドの中では、こちらも必死になります」

 支度を命じられたものには、自分の責任を全うするには仕方のない事だと正当化するだけのいい訳があった。

「淑女というもの、常に取り乱さず、落ち着いて対処する。それがあなたの任務です」

「しかしですね……」

 そんな悠長なことを言ってられないと、また気持ちが高まって反論する姿勢を向けたとき、カーラは睨みを利かした。
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