それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
「どういう人っていっても、説明しにくいものがある。人前に出ることを苦手としてるのか、実際顔を合わす事は少ないし、いつも書斎で静かに本を読んでいるような人だから、真面目で誠実な人なのは確かだ」

 マスカートは独り言のように呟いた。

「確かに真面目な人ではあるけど、誠実? ちょっとそれは言いすぎなような。あれはずる賢いっていう類いじゃないのか」

「おい、カルマン。本人が居ないからっていって悪口は言うなよ。お前の選ぶ言葉は人を不快にさせる」

「ちょっと待ってよムッカ。僕はいつも真実に基づいて言葉を選んでるよ。本当の事がなんで不快なんだよ」

「真実は時には傷付けるものなのさ」

 やるせなくマスカートが言った。

 マスカートが言うからこそ、それは皆を納得させた。

 暫く沈黙が続いた後で、バルジが口を開いた。

「リーフは信用の置ける奴だ。じゃなければ、私はここには居ない。皆それぞれ生きていたら事情はある。誰もがどこかで何かを抱え、それを隠す事もある。私だってそうだ。リーフは細かい事は気にしない。気難しい部分はあるかもしれないが、決して悪い奴ではない」

 バルジは泰然と構えた岩のごとく、ジュジュを見つめる。

 そこにはバルジがリーフを信頼しきっている姿が読み取れた。

「きっと立派な方なんでしょうね」

「まあ、立派って言えば立派だろうな。僕たちにボロは見せない」

「カルマンがいうと、どうしても悪く聞こえるのはなぜなんだ」

 マスカートは肩をすくめてあきれ返っていた。
< 101 / 268 >

この作品をシェア

pagetop