それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
「まあ、いいじゃないか。リーフは周りの事に干渉するような人じゃないし、俺達が全て賛成なんだから、リーフだってジュジュを気に入るさ。ジュジュも怖がらずに構えているといい」

「ムッカの言う通りさ。なんとかなるんじゃないの」

 カルマンが軽いノリでヘラヘラとした笑いを添えていった。

「それじゃ、ジュジュも疲れたことだろう。部屋に案内しよう」

 マスカートが自分の役目だというように、そこは仕切っていた。

 カルマンもムッカもこの時、タイミングよくあくびが出ては、それぞれ自分の部屋に向かいだした。

 バルジもモンモンシューをジュジュに返し、去っていった。

 四人の男達の部屋は全て二階にあったが、ジュジュは一階の一番離れに位置する場所へ連れて行かれた。

 誰も近寄らない、この屋敷の中で忘れられたような一角だった。

 モンモンシューは辺りを見回し、時々好き勝手に飛んでは二人を追いかけていた。

 手にしたランプをジュジュに向け、マスカートが振り向く。

「私達は二階で寝泊りしているが、ジュジュは一階の使用人部屋を使ってもらうことにするけど、いいかい?」

「もちろん構いません。部屋を貸していただけるだけでもありがたいです」

「使用人部屋と言っても、それは昔に使われていただけで、ジュジュが使用人という意味ではないんだ。一番邪魔の来ない位置で日当たりもいい。男達が一緒にいる階にいるよりは、誰にも邪魔されず気持ちも安らぐかと思ってね」

 マスカートは気を遣っているつもりだった。

 時々、女に振られたことで暴走はするが、普段のマスカートは紳士的で頼れる存在に思え、心強く感じた。

 ふいに微笑む笑顔もジュジュに安らぎを与えてくれ、大人な対応が心地よかった。

 またそれは、以前に助けてくれた時に感じた気持ちと重なるものがあった。

 そんな夢見心地になりながら、マスカートの背中を見つめ案内されるままについていく。

 屋敷の一番端にある使用人部屋は普段誰も寄り付かないのか、寂れたような雰囲気があった。

 その付近の廊下の壁に掲げてたランプにも光がともっておらず、薄暗さが少し不安になる。

 マスカートは硬く緊張したジュジュの気配を読み取り、すぐに廊下のランプに火を灯し、辺りを明るくした。

「光があればそんなに悪くはないだろ」

 暖かみのある光とマスカートの気遣いで、ジュジュの顔は自然に綻んだ。

 その様子にマスカートも満足し、部屋のドアを開け、手に持っていたランプの光を部屋の奥に向けてジュジュと共に一緒に中に入って行った。

「あまり使ってない部屋だから、掃除は行き届いてないかもしれないけど、今日は我慢して……」

 そこまで言いかけると、突然ランプの明りが消えた。

 いや、故意にマスカートが消してしまった。

 そしてマスカートは、強い力でジュジュを自分に引き寄せた。
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