それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
 マスカートが捕まえようとしたが、モンモンシューは我を忘れて派手に飛びあがった。それと同時に、前方で何かが動き、威嚇している呻き声が聞こえ出した。

 一触即発の危機。

 モンモンシューも辺りの違和感に気がつくが、それが何か知りたくて勇敢にも突進してしまった。

「チビ!」

 マスカート、ムッカ、カルマンが同時に叫び、その後ろでジュジュが戸惑ってオロオロしていた。

「一体どうしたの?」

 一人だけ状況が飲み込めないまま、ジュジュが不安になっていると、後ろに人の気配を感じ、ジュジュはゆっくりと振り向いた。

 木の間から長い髪をなびかせて誰かがこちらを見ていた。

 ジュジュがそれをそっと三人に知らせようとするが、それどころじゃない男達は前方だけに気を取られていた。

 ジュジュがもう一度振り返った時、その人影は森の中へ歩いていく。

 時折振り返り、まるでジュジュに着いて来いと誘うように、口許が微かに笑っていた。

「あの人、誰なんだろう」

 そう思った時、モンモンシューに矢を放った人物がこの森にいるのを想起し、ジュジュはハッとした。

 あの人に訊けば何かが分かるかもしれない。

 モンモンシューを元に戻したい一心が強くなり、ジュジュは無謀にも後を追いかけた。

 オーガ騒ぎでジュジュが離れている事にも気がつかず、マスカート、ムッカ、カルマンは緊張して前方を見つめたままだった。 

 ジュジュは髪の長い人物を追いかける。

 そうするように仕向けたその人物は、セイボルだった。

 セイボルは早足に、どんどん深く森の中にジュジュを誘い込んだ。

 長い金髪が時々木漏れ日を浴びてキラキラと光ってなびいている。

 ジュジュは近くで見てみたいと興味を持つほど、夢中になって追いかけた。

「あの、待って下さい」

 暫く小走りになってたところ、ジュジュの息が上がっていた。

 それを察して、セイボルはやっと立ち止まり、ゆっくりと後ろを振り向く。

 ジュジュが近くに来るのを背筋を伸ばして待っていた。

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