それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
「このまま一緒に暮らしていたら、ジュジュはもしかしたら私達の誰かを好きになってくれるかもしれないぞ」

「マスカートはそうなるようにアタックするってことか? カルマンみたいに」

「馬鹿、カルマンと一緒にするな。あいつは、本当に何を考えているのか。怖いもの知らずというのか、ちょっと頭が足りないというのか、エキセントリックすぎる」

「だけど、あそこまで本能をさらけ出して、言いたい放題にあっけらかんとできるのも羨ましいぜ。俺はどうしてもブレーキがかかる」

「普通それが常識だ。カルマンは頭の部品が一個飛んでるくらい異常だ」

「確かにそうだ。ハハハハハ」

 二人が笑って油断している時、前方に人が現れ、すぐさま緊張が走った。

 特にマスカートは目の前に現れた人物に目を見開き固まっていた。


 男達を森に送り出した後、ジュジュは裏庭に出て、家畜の世話をしだした。

 ずっと空だった馬小屋には、リーフが戻ってきてから、馬が入っていた。

 教育係のカーラの授業の一環で教え込まれていたこともあり、ジュジュも乗馬は得意だった。

 もちろん馬の世話もなんら問題なくでき、馬と接する事は特に好きだった。

 モンモンシューもすでに馬と仲良くなり、馬と見詰め合って心を通わしている様子だった。

 艶のあるボディ、長いたてがみ、優しい目、立派な体格。

 それはとても美しい馬だった。

 ジュジュは干草を与えた後、優しく馬の体を撫ぜた。

「とても艶々で、青味を帯びて光ってるわ。いい馬ね」

 馬は鼻息を強く噴出し、まるで照れているようだった。

 不意に馬が顔を上げて前方を見つめたので、ジュジュも振り返る。

 少し離れた先にリーフが立っており、ジュジュは咄嗟に緊張してしまった。

 リーフは黙ってジュジュと馬を見ているだけで、何も言わず、踵を返して屋敷の中に入っていった。

 誰にも愛されて、チヤホヤされていたジュジュにとって、リーフのような存在は扱いにくかった。

 教育に厳しく、みんなから怖がられているカーラでも、ジュジュは恐れず慕うことができたのに、リーフの前では言葉を忘れたくらい何も話せなくなる。

 ジュジュがこの屋敷に来てから、リーフは益々心閉ざすように不機嫌になっていくように見える。

 これもセイボルとの確執を知られて、恥じを感じているのかもしれない。

 ジュジュはセイボルが悪い人ではないと思っている。

 この屋敷に住むものの中で唯一、セイボルに対して敵意を持ってない事がリーフには気に入らないのだろう。

 特にジュジュに対して何を言う訳でもないが、リーフは明らかにジュジュに対してどこか避けているように思えてならなかった。

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