それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
「一体何があったのですか?」

「ジュネッタージュ様がまだベッドからでていらっしゃらないんです」

 周りはそわそわしているというのに、カーラだけはこの状態でも泰然としていた。

 ただの見栄張りで落ち着いたフリをしているのか、エボニーには真似できなかった。

「えっ、もうパーティは始まるのに、まだベッドの中ですって? ジュジュ様、エボニーです。すぐここを開けて下さい」

 慌ててドアを叩くエボニーを制するように、カーラは叩いている彼女の手を軽く掴んだ。

「無駄です。ジュネッタージュ様は自らはでてこられません」

「でも、なぜ? 昨日あんなに楽しみにしていたのに」

 それは皆も不思議に思うところだった。

 ドアの向こうですすり泣きも聞こえてくる。

 ジュジュに一体何が起こったというのか。

 急病か、怖気づいたのか、そこもはっきりせず、皆が思い思いに心配しているところへ、先ほどカーラから言付かった男二人が、斧を担いでやってきた。

 皆、波が引くように道を開け、斧を持った男達はカーラの顔を確認すると、カーラが一度首を振ったところで、その斧が宙に振り上げられる。

 そして、容赦なくドアめがけてそれは襲い掛かった。

 そのぶつかる凄まじい音で、折角収まっていた王女の鳴き声がまた大きくなった。
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