それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
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 ダイニングルームの大きなテーブルを男達が総出で囲んで、がつがつと朝食を取っている。

 沢山の量の料理に並んでモンモンシューもテーブルの上で一緒に食べていた。

「皆さん、けがの具合はどうですか?」

 ジュジュに様子を尋ねられ、負傷者達は照れながらそれぞれ大丈夫だと答えた。

 ジュジュが笑えば、皆見とれるようにでれっとしている。

「おいおい、お前達わかりやすいな」

 ムッカが近くに居た男に肘鉄を向けると、それが傷口に当たり男は「うっ」と顔を引きつらせた。

「あー悪い、悪い」

 そして、負傷者Aが口を開く。

「無礼がありながら、ここまでよくしてくれて、ムッカ、ありがとう」

「それは俺だけじゃないだろう。この屋敷に住む全員の協力があってのことだ」

 負傷者Aは椅子から立ち上がり、そして頭を下げた。

「皆さん、助けて頂いてありがとうございました」

 一人が言えば、皆同じ事をしていた。

「それはいいけど、お礼忘れないでよ」

 厚かましいのか、商売上手なのか、カルマンだから見返りを催促できるその言葉に、マスカートとムッカは見合わせて、お互い顔を歪ませていた。

 その時、外に出てたバルジが、ずたぶくろを肩に提げて戻ってきた。

「今、街から荷物が届いた。馬車の積荷を降ろしたら街まであんた達を乗せてくれるように頼んだ」

「それはよかったじゃないか。グッドタイミングだ。これで歩かずに街まで帰れるな」

 一足早く食事を終えたマスカートは立ち上がり、荷物運びに向かった。

「やっと荷物が来たんだ。一体何が来たんだろう」

 カルマンも素早く部屋を出て行った。

 ジュジュも好奇心から様子を見に行く。

 外では馬車に乗る御者と、白髪交じりの小柄な老人が、雑談をしている姿が目に入った。
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