それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?

 セイボルは日に日に良くなっていく。

 それもそのはず、専属の天使の看護師がいつも側について世話をしていたからだった。

 セイボルはもうリーフのフリをせずに、セイボル本人として屋敷に戻ってきていた。

 まだ傷口が完全に塞がってないので、ジュジュが付き添いで看病する。

 その姿は見てられないほどに熱々で、だれが見ても目を覆いたくなるほど恥かしかった。

 ジュジュが王女様とばれても、男達はいつもと変わらない態度で接する。

 この屋敷ではジュジュの身分など関係なかった。

 みんなが楽しく暮らせる。

 それが一番大事だった。

「なんかさ、セイボルって結構子供っぽいよね。ジュジュの前で猫みたいになってる。リーフ役してた時は威厳に満ちて肩をいからして歩いてたのにさ」

「カルマンにだけは言われたくないだろうぜ。でも、それだけジュジュに甘えたいんだろう。羨ましいぜ」

「そうだよね。羨ましいよね。僕がジュジュと結婚する予定だったのに」

「まだ、そんな事言ってるのか?」

「やだ、ムッカ、ぶたないで」

「お前達、何やってるんだ。また森に向こう見ずな奴らが入って来たぞ。追い出し作戦だ」

 マスカートが号令をかけると、皆の顔が引き締まり、そしてバルジがオーガの衣装を身につけた。

「やっぱり似合ってるね、その衣装」

 カルマンが言うと、バルジは「ああ、自分でも誇りに思うよ」と答えて笑っていた。

 この時は、商売という気持ちは薄れ、森の危険から人々を守るという使命を抱いて行っていた。

 それでもカルマンは裏でこっそりと助けた人達にお礼を催促する。

 マスカートとムッカはそれに気付いていても、敢えて見てみぬフリをしていた。

 自分達は言えないが、やはりお礼があると助かる。

 カルマンがその役を担ってくれると、無邪気さが出て、人々は自然とお礼をしなければという気持ちになってしまう。

 もしかしたら、カルマンは魔術をつかっているのかもしれないが。

 その辺は臨機応変に、というよりカルマン任せにやっていた。

 また荷物を配達する御者もここへ来るのを楽しみにしている節もあり、業者が街で『森の勇者たちに寄付をして支援しよう』と宣伝活動もしてくれているらしい。

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