それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
 そして時は流れ、またジュジュの誕生日が近づいてきた。

 いつまでも楽しい日々を送りたいが、そろそろジュジュはお城に帰らなくてはならなくなった。

 これは避けて通れないジュジュの使命でもある。

 皆はその日が来るのを寂しく思い、セイボルも今の生活が変わることに不安と抵抗を感じていた。

 そんな時にカルマンの魔術が成功し、モンモンシューが元に戻ってしまい、その体の大きさから長らく森には住めなくなった。

 ジュジュはそれがサインと受け止め、お城に戻ることをとうとう決意する。

 次の誕生日パーティは国の存続のため、国民の穏やかな日常のためにも絶対に不参加は許されなかった。

 そして、いよいよというその旅立ちの日の朝。

 すっきりとした青空が広がり、風が気持ちよくそよいでいた。

 ジュジュはその空を眩しく見つめ、モンモンシューを撫ぜて心構えを確かめる。

 男達はその前に集まり、ぐっと腹に力を込めて見守っている。

「僕、お別れなんて辛いよ。チビ、行っちゃうの」

 自分より何倍も大きな体のモンモンシューにカルマンは抱きついて泣いていた。

「グォーン」

 モンモンシューはカルマンを何度も舐める。

 糸を引くほどにべとーっとしてカルマンの髪はべちょべちょに濡れていた

「ジュジュ、次会う時は、ユア ハイネスになるんだな」

「あら、私は私よ。だからいつだってジュジュよ。マスカート」

「ジュジュ、楽しかったぜ」

「私もよ、ムッカ」

「ジュジュの幸せいつも願ってるからね」

「ありがとう、カルマン」

「ジュジュ、気をつけて」

「バルジも、色々とありがとう」

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