それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
 みんなとの別れ、また会える日があるけれど、家族として過ごした日々はこれで最後になる。

 ジュジュもその寂しさをぐっと飲み込み、笑顔で皆とお別れの挨拶を交わして、最後は力強く抱き合った。

 そしてジュジュはセイボルと向き合った。

 セイボルは離したくないほどに熱くジュジュを抱きしめる。

「ジュジュ、本当にまた会えるんだろうな」

「何を心配してるの。私が愛するのはセイボル、あなた一人よ」

 キラキラする緑の目。

 柔らかなピンクの頬。

 ぷっくりとした唇。

 全てが愛おしい。

 ジュジュの全てにセイボルは魔術にでもかかったようにうっとりとして心を奪われている。

「ジュジュ、私も愛している」

 二人がキスをしようとすると、後ろでわざとらしく空咳が飛び交った。

 セイボルは顔を歪めて、後ろを振り返り、威嚇していた。

 皆はそれを見てからかい、そして大いに笑う。

 モンモンシューはそこで気を利かし羽根を広げて、ジュジュとセイボルをみんなの前から隠した。

 モンモンシューの粋な計らいに二人は遠慮なく熱い口付けを交わしていた。

 ジュジュと別れるのは名残惜しいが、その時間が迫っているとモンモンシューは空に向かっておたけびをあげた。

 それが合図となりジュジュは覚悟してモンモンシューの背中に乗った。

 みんなに見送られ、ジュジュを乗せたモンモンシューは大きく羽根を広げ、そして力強く飛び上がり、素早く大空へ飛び立った。

 数回屋敷の頭上を旋回し、そしてとうとう旅立っていった。

 誰もが、見えなくなるまでその手を振っていた。

「あーあ、寂しくなるな」

 やるせなくマスカートが呟く。

「仕方ないさ。王女様だもん」

 ムッカも肩をすくめる。

「でも、僕、ジュジュとキスが出来てよかった」

「えっ、なんだってカルマン!?」

「お前いつの間にそんなことを」

 マスカートとムッカに責められているとき、横を通ったセイボルが、何気にカルマンの頭をばしっと叩いて過ぎ去った。

「いてっ」

「みんなが許しても、私はお前を一生許さん」

「あっ、セイボル、許して、ごめん」

 カルマンは何度もヘコヘコしていた。

 その姿をマスカートとムッカは笑ってみていた。

 バルジは、ジュジュが去っていった空を見上げて、眩しそうに目を細め、最後は口許をあげて微笑んでいた。
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