それは秘密!王女の婿探しは陰謀の果てに?
 ジュジュの逃亡を助けたことで、この先責任が圧し掛かり責められるのに、グェンはそれよりもジュジュを応援せずにはいられなかった。

「ジュネッタージュ様、どうかお気をつけて」

「ええ、それじゃ行ってきまーす」

 ジュジュは、二階の窓から怖がらず、壁伝いにロープを手にして降りていった。

 その姿は勇ましく、立派だった。

 グェンは暗くなった外を上から覗き込む。

 ジュジュは下で元気に手を振った後、庭から裏の林へと颯爽と走っていく姿がぼんやりと浮かんでいた。

自分の思うまま飛び跳ねるように、風を切って暗闇の中へ駆けて行くジュジュの走りっぷりを見ていると、グェンは願わずにはいられない。

「とことん走って下さい。自分の夢を掴むまで」

 その時は全てが上手くいくと、グェンは信じてならなかった。

 だが、パーティの当日の朝を向かえ、その時になって初めて、朝日が差し込んだジュジュの部屋にいる自分に恐れをなしてしまったということだった。
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