陰にて光咲く



けど、そんなこと聞かれてもアズマからの連絡は相変わらずないしわからない。


「いえ、わかりません」


「そうですか…連絡も?」


その質問も首を横に振った。


アズマ、一体どこで何やってんだよ…


警察から逃げてるのだろうか。


頭の中でアズマが行きそうな場所を探る。


警察がこんなに探してるのに見つからないってことは…


そして、一つの可能性が頭をよぎった。


「まさか、夜逃げ…」


「え?」


渡辺は、身を乗り出した。


「いえ、事実かわからないんですけれど」


「構いませんよ、話してください」


「アズマの父親が多額の借金を抱えていて、


それをアズマが返済しなければならないと聞いたことがあります。


それでこの前、借金取りに追われてるアズマを一晩だけうちに泊まらせたんです。


だからまた、借金取りから逃げるために行方をくらましたのではないかと」



その話を聞いた渡辺は、うなった。


借金取りから逃げるために家を転々としてるとも言っていた。


可能性はゼロではない。


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