陰にて光咲く
『この電話番号は現在使われておりません…』
そりゃそうだよな。
肩を落として耳からスマホを離す。
これで繋がってたら、警察がとっくに捕まえてるはずだ。
俺はもう使われてないアズマの番号を削除しようとしたが、なぜかできなかった。
削除のボタンを押すところで躊躇してしまう。
消すのはやめとこう。
もしかしたら、また繋がるかもわからないし…
淡い期待を抱いて、そのままスマホをポケットに戻した。
すると、店のドアが開いた。
「いらっしゃいま…」
入ってきた客は見覚えあった。
この長身のロン毛男…
確かアズマのグループの…
ヨースケって名前だったよな。
「お前だろ、星野拓夢っていう奴は?」
そいつは目を合わせながら近づいてきた。
殴りかかってきそうな勢いに、思わず後ずさりしそうになった。
「そう…ですけど、何か?」
「お前よ、アズマの居場所知らねーか?」
え?何だよ、その質問…
こいつもアズマの居場所知らないのか?
俺は目を泳がせて息をのんだ。