陰にて光咲く



てっきりグループの奴らは知ってて、一緒に逃げてると思ったのに。


俺は疑問に思いながら首を横に振った。


「いえ、知りませんけど…」


「はーん…やっぱあいつ、とうとう逃げたか。いずれやるんじゃねーかって思ってたけどな」


ヨースケは意味深なことを言いながら、客の待ち時間のためにあるソファにどかっと座った。


「逃げた…?」


「知ってたか?アズマの奴、俺らのグループから抜けたがってたの」


「え?」


耳を疑った。


抜けたがってたって、どーゆう意味だ?


その続きの話が聞きたい。


受付カウンター越しから、身を乗り出す。


「どーいう意味ですか?聞かせてください!」


ヨースケはタバコに火をつけて、ふうっと吐き出した。


「アズマから聞いてると思うけど、俺らドラッグの密売してんだ」


「ドラッグ…」


「そんでアズマがグループに入ってきたのが、ちょうど2年前だったな」


そこでヨースケから、アズマがグループに入ってきてからの経緯を聞いたのだった。




その話には、一人の少年の残酷な過去が隠されていたー





< 118 / 211 >

この作品をシェア

pagetop