陰にて光咲く
第八章 「真実」



それは今から2年前。


高校生だったアズマは、毎日父親からの虐待を浴びせられていた。


会社が倒産し、多額の借金を背負いこんだ苛立ちを、アズマに当たっていたのだ。


「クソガキってめえのせいだ‼︎」


暴言とともに、身体を殴られては蹴られ…


日に日に増えていくアザ。


近所に住んでいる人も、学校側もアズマが虐待を受けていることを知っていたが見て見ぬ振りをしていた。



担任の教師がアズマのアザについて問いただした時に、


「友達とプロレスごっこしてるだけですから」


と、笑って本当のことを話さなかった。


本当のことを話せば、父親からさらに倍返しされることをアズマは知っていたからだ。


母親はそんな父親に気疲れし、精神科の病院に入院していて、かばってくれる人はいない。


家にいれば虐待され、外に出ても誰とも目を合わさず、話もできない。


アズマの心は重く沈み、やがて不登校になってしまった。


鏡にうつるアザだらけの自分が醜い。


こんな自分が生きてる意味があるのだろうか。


生きた先に何がある?


「お前なんか死ねばいい…」


アズマはいつも鏡の自分に向かって、そう言っていた。


まるで、呪文のように…




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