陰にて光咲く



1回だけと決めていたが、一度始めてしまったものはそうはいかない。


アズマは薬に頼る日々が続いた。


孤独な日々が嘘のようだ。


毎日快感だけを味わい、ヨースケ達のグループとドラッグパーティーを楽しんでいた。


もう薬なしでは生きていけなかった。


そして、ヨースケ達と一緒に薬の運びや薬を必要としている人との取引をする。


「はいよ、坊やにお小遣い」


密売が完了するとグループの頭の成瀬という男から、万札を数枚もらっていた。


これがヨースケの言っていた嫌なことは忘れて稼げるという意味だった。


こうして薬の取引が完了すれば大金をもらえて
、自分は毎日薬で気分良くなってればいい。


アズマはこの時の仕事に、生きがいを感じていた。


そしてやっと、自分の居場所を見つけたのだ。


ここ以外に帰る場所はない。


自分が自分でいられる場所だった。




< 124 / 211 >

この作品をシェア

pagetop