陰にて光咲く
1回だけと決めていたが、一度始めてしまったものはそうはいかない。
アズマは薬に頼る日々が続いた。
孤独な日々が嘘のようだ。
毎日快感だけを味わい、ヨースケ達のグループとドラッグパーティーを楽しんでいた。
もう薬なしでは生きていけなかった。
そして、ヨースケ達と一緒に薬の運びや薬を必要としている人との取引をする。
「はいよ、坊やにお小遣い」
密売が完了するとグループの頭の成瀬という男から、万札を数枚もらっていた。
これがヨースケの言っていた嫌なことは忘れて稼げるという意味だった。
こうして薬の取引が完了すれば大金をもらえて
、自分は毎日薬で気分良くなってればいい。
アズマはこの時の仕事に、生きがいを感じていた。
そしてやっと、自分の居場所を見つけたのだ。
ここ以外に帰る場所はない。
自分が自分でいられる場所だった。