陰にて光咲く



けれど、それがある時アズマを恐怖へと突き落とされることになる。


薬の運び屋を始めてから1年が経った時。


「アズマに新しい仕事だ」


成瀬から任された仕事。


それが、売春の斡旋業だった。


その頃から成瀬は売れそうな男や女がいた時には薬で大人しくさせ、ヤクザたちに売りつける売春の斡旋業を始めた。


「はいよ。これ、アズマがキメてやりな。あの男に」


成瀬はアズマに薬の入った小袋を渡した。


フロアには2人の男に両腕を押さえつけられた
男がいる。


「あいつは今からこの薬で大人しくなってもらって、ヤクザのとこへ売られていくんだ」


ヤクザに売る?


最初、成瀬の言っている意味がわからなかった。


「これが薬の密売なんかよりすげー儲んだよ」


と、成瀬は笑いながら淡々と話す。


そして成瀬は、アズマがその男に薬を与えて大人しくさせろと指示した。


つまり俺があの男に薬を与えて、抵抗できなくなった男は、そのまま売春されるってことか?


薬の金ほしさに売春させる行為は、アズマもためらった。


< 125 / 211 >

この作品をシェア

pagetop