陰にて光咲く
「どーすんだ?やるのかやらねーのか⁉︎」
ドスのきいた成瀬の怒鳴り声に恐怖を感じ、震える手で薬を受け取ってしまった。
「そう。それでいいんだよ」
そして男に近寄り、成瀬の指示に従った。
従うしか…なかった。
それからずっとアズマは、脅されながら成瀬の指示に従っていた。
嫌がりながら売られていく人たちを、見て見ぬふりしかできない。
自分が売られるの嫌だからって人に薬をキメるなんて、残酷だ。
こんな仕事をずっとやり続けるわけにはいかない。
いつしかアズマは成瀬のグループから抜けたいと思うようになった。
「成瀬さん・・俺もう薬やめます。だからこの仕事もやめます。すみません、抜けさせて下さい」
これ以上仕事を続けられなくなったアズマは、成瀬に頭をさげて頼み込んだ。
この仕事を続けるくらいなら薬をやめたほうがマシだった。
最初、無表情で聞いていた成瀬はしばらくして笑い出した。
「おいおいアズマ。頼み込む時の態度違うんじゃねーのか?」
成瀬はアズマの頭をポンポンと叩いた。
「人に何か頼む時は土下座だろ?」
屈辱を感じた。
けど、やめるためには成瀬の言う通りにしなければいけない。