陰にて光咲く
その日、大学で薬の取引をすませたアズマは成瀬のところへ戻った。
「ごくろーさん。これでお前は今月のノルマ達成だな」
そう言って成瀬は、アズマに数枚の万札を渡した。
「またよろしく頼むよ、アズマ」
「あの成瀬さん、約束しましたよね?」
「何が?」
「今月のノルマ達成したら俺をグループから抜けさせてくれるって」
そんな約束を1月の頭ぐらいにしていた。
成瀬もその約束を受け入れたかのように見えていた。
「金なんかいりません。警察にもバラしませんから、抜けさせてください‼︎」
アズマは万札を成瀬に差し出しながら頭をさげた。
けど成瀬はそれを受け取ろうとしない。
「俺がそんな約束守ると思ったのか?」
成瀬はアズマの髪を掴んで強引に顔を上げさせ、耳元に唇を近づけた。
「アズマ、俺を裏切ったらどうなるんだっけ?言ってみ」
背筋に冷たいものが流れた。