陰にて光咲く



その日、大学で薬の取引をすませたアズマは成瀬のところへ戻った。


「ごくろーさん。これでお前は今月のノルマ達成だな」


そう言って成瀬は、アズマに数枚の万札を渡した。


「またよろしく頼むよ、アズマ」


「あの成瀬さん、約束しましたよね?」


「何が?」


「今月のノルマ達成したら俺をグループから抜けさせてくれるって」


そんな約束を1月の頭ぐらいにしていた。


成瀬もその約束を受け入れたかのように見えていた。


「金なんかいりません。警察にもバラしませんから、抜けさせてください‼︎」


アズマは万札を成瀬に差し出しながら頭をさげた。


けど成瀬はそれを受け取ろうとしない。


「俺がそんな約束守ると思ったのか?」


成瀬はアズマの髪を掴んで強引に顔を上げさせ、耳元に唇を近づけた。


「アズマ、俺を裏切ったらどうなるんだっけ?言ってみ」


背筋に冷たいものが流れた。


< 131 / 211 >

この作品をシェア

pagetop