陰にて光咲く



「お前にそんなクソ真面目なセリフ似合わねーよ」


ソウはビニール袋を持ってアズマに近づいた。


そしてアズマの頭を強引に押さえつけ、鼻と口にビニール袋を当てた。


「お前が薬をやめてグループから抜けるなんて許さない」


アズマは抵抗するも何度か呼吸をしてしまったようで、目がうつろになってきていた。


しばらく全員でシンナーをやっていると、この部屋の住人が帰ってきた。


どうやら帰ってきた男とアズマは知り合いらしい。


案の定、住人の男は勝手に部屋に上がりこんでいることを怒り、アズマを殴った。


そして男が部屋を出ていった後、ソウたちはヘラヘラ笑いだした。


「あいつ怖え〜!アズマ殴られてたな、大丈夫かよ?」


「アズマの知り合いにしては普通だよな。なあ、あいつアズマの友達?」


ヨースケがアズマの肩に手をかけると、アズマはヨースケの手を強く振り払った。


「触んな」


「アズマ?」


「お前らもう出ていけ」


静かな空間にアズマのかすれた低い声が響いた。

< 135 / 211 >

この作品をシェア

pagetop